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「伝説の雀姉妹」
 昔、といってもそう遠くない昔、そう、まだ戦後間もない昭和に「伝説の雀姉妹」と呼ばれた、二人の
女性雀師がいた。「姉妹」といっても、本当の姉妹ではない。いつも二人組で打ち、有名な玄人(ばい
にん)をことごとくねじ伏せてきたため、いつの日からかこう呼ばれたのだった。
 姉貴分であった「紺子」は、古くから地元を牛耳っていたヤクザ「霰谷一家」の長女として、この世に
生を受けた。
 紺子が産まれてすぐにこの世を去った母に変わり、霰谷組の若頭「戌輪」が進んで紺子の世話役を
買って出た。戌輪は、離ればなれに暮らしている娘「葉菜」の面影を紺子に重ね、まるで自分の娘の
ように可愛がっていた。戌輪の娘葉菜は、幼い頃から身体が弱く、ずっと闘病生活を続けていた。
病院での唯一の楽しみは、絵を描くことだけであった。それに比べ、紺子は男社会の中で、すくすくと
たくましく育っていった。子供の頃の紺子の遊び道具は、組の若い衆がよくやっていた「麻雀」の点棒
やサイコロだった。ある日、賽の目を熱心に振る紺子の姿を見た戌輪が、興味本位で「麻雀」を教え
たことが、紺子のその後の人生を大きく左右することになるが、その時点では知る由もなかった。血と
いうものか、それとも環境からか、紺子は驚く程のスピードで麻雀を修得していった。
 12歳の時には、出入りの若い衆で誰も勝てる者はいなくなっていた。
紺子は、もっと強い者を求め、雀荘を練り歩く日々が続いた。もはやそこには、幼き日の少女の面影
はなく、血で血を洗う勝負にのみ至福を感じる雀師の姿しか無かった。
 そんな時、勝負を挑んできたのが、後の妹分「由紀」であった。 
由紀は、紺子とは対照的に、裕福な一般家庭の子として生まれた。父は、大手の金融機関に勤め、
母は近所の金持ちを相手に、ピアノのレッスンをしていた。
 由紀は18歳になったある日、幼い頃から続けていたヴァイオリンを学ぶため、留学をしたいと両親
に伝えた。当時、まだ珍しかった留学に対して、両親は真っ向から反対したが、由紀の熱意に打た
れ、「大学課程卒業と同時に帰国」を条件に、愛娘を送り出した。やがて、両親の思いとは裏腹に、
現地の学生ジョン=ヤコンコとつきあい始めた由紀は、約束の期限を過ぎても日本に帰ろうとはしな
かった。親からの仕送りを止められ、仕方なくジョンと共に帰国した由紀は、父親から勘当され、裸
同然で家を追い出された。やがて、由紀はジョンの子供を身ごもり、結婚した。
 結婚してからというもの、ジョンの豹変ぶりはひどいものであった。遊びのための金を巻き上げて
は、夜な夜な浮気を繰り返し、金が無くなると戻ってくる。そんな地獄のような日々から逃避するた
め、由紀は自らも夜の世界へと足を染めていく。
 そして、由紀は紺子と出会った。
2人は俗に言う「玄人の業」を使うことはなく、故に局中、大きな手に振り込み、追い込まれることも
あったが、経験値と天賦の才により、必ずと言っていいほど逆転勝ちを収めた。
 「そろそろ、この世界からも足を洗おうかな。」
由希がそんなことを言い出したある日、紺子は、とある雀荘で懐かしい人に出会った。かつて、紺子
に麻雀を教えてくれた、若頭「戌輪」である。
 しかし、戌輪はひどく困窮した表情で、雀荘の前に座り込んでいた。
「いっ、戌輪?」紺子は恐る恐る声をかけた。
「そっ、その声は、紺子お嬢さん。」戌輪は、殴り倒され、腫れ上がった目で紺子を見つめた。「大きく
なりやしたね。」
 「一体どうしたって言うの?その顔。」
 「なっ、情けねぇー。」戌輪は、すすり泣きながら、ことの顛末を話した。

 戌輪は、紺子が家を出た後、組を離れ、昔からの夢であった洋食のコックになるため修行を始め、
「お茶の水」駅の電車通りに小さな店を開いた。
 半熟卵のオムライス、キノコたっぷりのカレー、揚げたてのヘレカツ。小さいながらも、店は繁盛して
いた。店内には、組を抜ける際、霰谷親分から頂いた「天使達の裸図」が飾ってあり、雑誌にも頻繁に
取り上げられ始めた。
 そんな戌輪にもう一つ、うれしい知らせが飛び込んできた。
以前から、カレーの具材として探し続けていた「幻のキノコ」がみつかったとのことであった。戌輪は、
小躍りした。これで以前から夢いていた究極のカレーが作れると。
 しかしその幸せは、かつての組員であり、戌輪を裏切って破門となった「綿星龍司」により、踏みに
じられた。
 綿星は、戌輪を言葉巧みに麻雀に誘い、玄人「山茂 仁」と結託して、
イカサマをし、戌輪をネコにした。(この当時、「カモ」を獲る玄人に狙いをつけ、逆にカモることを「ネ
コ」と呼んでいた。)
 ふくれあがった借金の形に、店は荒らされ、戌輪が命の次に大切にしていた「天使達の裸図」と「幻
のカレーキノコ」を奪われたとのことだった。
 
「・・・分かったわ。私たちに任せて。」紺子が静かに言った。
「綿星は、私たちが倒す!!」

 紺子と由紀の2人は、綿星組に出向き、綿星と山茂に勝負を挑んだ。
「これはこれは、お嬢さん。お久しぶりです。久々に私がお相手しましょう。」

 闘牌開始  東一局 親「由紀」 ドラ「二萬」 

「おっと、リーチ。安い手ですよ。」綿星が不適な笑みを浮かべる。
「ずいぶんと仲がいいみたいね、あなた達。さっきから目で話してる見たいだけど。」由紀が、山茂と
綿星のイカサマを牽制する。
「ふふふ、ロン!!おしゃべりが過ぎますよ。」

 由紀の振り込み メンタンピンドラ1 8000点 由紀→綿星

「まだまだ、これからだわ。」 

 東二局 親「山茂」 ドラ「中」

「ポン!!ドラポンです。腕が少し落ちましたかね。」綿星があざ笑う。
「これなら・・・」紺子のツモ切り。
「ロン!!跳萬です。」
「くっ」

 紺子の振り込み 混一中ドラ3 12000点 紺子→綿星

 その後も、山茂・綿星のイカサマにより、二人の振り込みが続く。
「“伝説の雀姉妹”が聞いてあきれますねぇ。」山茂が罵った。

 その時、かつて「雀神」と呼ばれた、今は無き霰谷組長の声が2人に届いた。
 『“目”ではない。“心”で見るのじゃ。そして、“魂”でツモれ。』
 
 二半荘目 南一局 親「紺子」 ドラ「發」

「ふふふ、そろそろ終わりにしましょうか?」山茂が呟く。
とその時、
「ツゥモォォォーーー!!。」まずは、由紀が反撃の狼煙を上げた。
「だっ、大三元?!」
 こうなった後の二人にかなう者は無かった。
 「ツモ!!」緑一色。「ツモ、メンピン一通ドラ3。「ツモ!!国士」
そして、オーラス。
 「ルォォォォォーーーーーンッ!!」紺子の声が響く。
 「確かこれ、ダブロンありだったわね。ロォオオオオーン!!」由紀が続けた。
 「さっ、今日の負け分払ってもらおうかしら。」由紀が詰め寄る。
 「たっ、ただじゃ負けられねぇ。この“裸図”も道連れだ。」山茂がナイフで斬りつける。
 「止めて!!」そこには、車椅子に乗った戌輪の娘「葉菜」の姿があった。
 「これ以上、その絵を傷つけるのは止めて。」葉菜は泣きながら叫んだ。
 「くっ、覚えてろー。」山茂は、「天使達の裸図」を投げつけ、逃げ出した。
 「かっ、完敗です。山茂の負けも私が被ります。カレーキノコもお返しします。天使達の裸図は
  少々剥げてしまいましたが。」
 「剥げた部分は、私とお父さんで描くわ。」葉菜はそういって、戌輪に微笑んだ。
 「葉菜・・・。」
 「戌輪、もう、変な誘いに乗るんじゃないよ。強く生きな。」紺子が言った。
 「ううっ。お嬢さん、由紀さん、ありがとうございました。」
 「さっ、お父さん、お店に戻って2人で美味しいカレーを作りましょう。」  

 由紀=ヤコンコ
 霰谷紺子
 振っては振っては、ずんずんツモる!!
 山茂の腹(払)も綿星被り、
 カレーキノコ・裸図、葉菜画作。

                                                     −続く−                         
| mogu | 10:29 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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